2008-06-16

プロ魂

ザ・マジックアワー。

製作のフジテレビ以外のキー局にも
出まくっている三谷幸喜はどうかと思うが、
独特の三谷ワールドは、
いつもクリエイター心をくすぐられる。

仕事の合間にぜひ、
見にいきたい映画である。

今回は、
日本最大の東宝の映画スタジオに、
街全体のセットを作り上げてしまったというのだから、
“街づくリエイター”としても、
押さえておきたいところだ。

以前、我が家の近くに、
松竹の大船撮影所があったので、
何回か見学に行ったことがある。

本物ソックリに出来た街並みは、
(寅さんの柴又商店街のセットが多かったが・・・)
遠近法を使って、遠くの建物ほど
実際の大きさよりも小さくできていた。

セットの奥のほうに入っていくと、
子供のボクでも巨大化して、
ウルトラマンかゴジラにでもなったように、
錯覚したのを覚えている。

「マジックアワー」のメイキング番組を見ていたら、
やはり同じ手法が使われていた。

ただ違うのは、
建物や街がハリボテではなく、
そこに本当にひとつの街が存在していて、
建物の外も中も裏側や影に隠れる部分まで、
世界観通りに再現されていること。

その架空の街には、
作りこまれたポスターや、店に並ぶ様々な商品、
ストーリーのあるオブジェ、落書きなどが、
職人の手によって本当に細かく作られている。

それだけ時間と手間と費用をかけて配置した、
ストーリーのある小物や風景も、
映像として残るのは限られているんだとか・・・。

勿体無い話だが、
驚いたのは、三谷さんと職人さんとのやりとり。

三谷さん「ボク、貧乏性なもので、
      ここまで作り込んでいただくと、
      できるだけ多くのポイントを画像として
      登場させたくなっちゃうんですよね。」

職人さん「その必要はないですよ。
      たとえ映画の本編に映像として登場しなくても、
      役者さんの目には入ってる訳ですから。
      それで役者さんが、よりその世界に入り込んで、
      キモチのこもった演技につながれば本望なんです。」

三谷さんも天才だが、
職人さんのコトバにも重みがある。

クリエイターとしての心構えに、
大きな気付きをいただいた。


<今日の逸品>
世界的企業、Tヨタの営業統括部門の提案書。
プロジェクトでの右肩上がりの成果を暗示する
左下標識の「矢印」が表向きのポイントだが、
前述の職人さん的には、
写真に込められた意味のほうが
大事な要素かも・・・。

0 件のコメント: