2008-03-12

マボロシという名の色

人が目で見ている世界って、
本当に存在するのだろうか。

最近、
お客さんとのやりとりや、
デザインの現場で、
“色”について訳がわからなくなることがある。

「きれいな青系の背景で!」

「春っぽい明るい華やかな色がいいな」

「都会的な落ち着いたイメージ」

いろいろな形容詞を駆使して、
自分のアタマの中にある“色”を
伝えようというするキモチはわかるのだが、
なかなかイメージ通りにいかない。

色はCMYKやRGBなど、
原色の組み合わせで数値化できるのだが、
これを利用して相手と同じ色をつくっても、
使っているパソコンのディスプレイや、
出力するプリンターの違い、
印字する紙などによって、
全く印象が違ってしまう。

同じ出力紙でも、
太陽の下で見える色と、
蛍光灯、白熱灯などの下で見る色とでは、
全て同じ色とは思えない。

先日、マチクリのHPなどを
強力にバックアップいただいている
先輩、いや親分と打合せをする機会があった。

親分は、緑と赤の区別がつきづらい
いわゆる色弱者なのだが、
通常の仕事に加えて、
カラーユニバーサルデザイン機構という
NPOの活動もこなす、まさに“親分”である。

そんな親分が使っているパソコンには、
マウスをのせるとその色が方位磁石のようにわかる
カラー判定機のようなものが付いており、
また、色弱者の方々が
際にどのように見えているのか
ボクたちにも体験できる
写真の見本がストックされている。

「ある紅葉の風景」・・・という写真を2枚見せてもらう。

1枚は、「そうだ京都いこう」・・・的な、
情緒溢れる晩秋の世界。

もう1枚は、
青々と緑の葉っぱを茂らせる
夏の木々が写っている。

「構図」が似ているなぁと感じたその2枚は、
全く同じ写真だという・・・。

・・・衝撃を受け、
冒頭の言葉がアタマをよぎる。

人が目で見ている世界って、
本当に存在するのだろうか。

答えはわからないが、
社会にあふれるいろいろな“色”の環境が、
多様な色彩感覚を持つ全ての人たちにとって、
やさしいものでなくてはならない。

自分のデザインを省みた春の一日。


<今日の逸品>
以前、北海道の分譲地で配布した
三つ折のリーフレット。
一番下、背景が緑色部分のコピーで、
目立たせようと「不満足度」を赤文字にしたのだが、
カラーユニバーサルデザイン的にはNGだったなぁ。
親分的には、「ナチュラルローソン」の緑に赤文字も
判別がしづらいということを教えていただいた。
・・・反省。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

どもども。
私も公開ブログを作成しましたw

http://blog.happycolors.net/

そうなんですよね、
「絶対的なもの」って何だろう?もしかすると存在しないのかもしれない…なんて思ったりします。

特に「色」はそうですね。
真っ赤なリンゴも真っ暗闇では赤か黒か分かりませんが、甘酸っぱい香りを放ち、食べるとおいしく、触ればリンゴの形や重さは分かったりします。

まあそんなこんなで、
今後ともよろしくお願いしまーす!